宇治村朔の呑気なhobby days

本と映画とミュージアムと

松本亮平さんという画家 サブウェイギャラリーMにて

 モネを見た2日目の帰り、みなとみらい駅みなとみらい線そばに、サブウェイギャラリーMという広告を見つけた。
 何だこれ。何やってんだろ、とへろへろのまま吸い込まれるようにその場所に向かった。

 そこでは松本亮平さんという人と、何人かが展示を行っていた。
で、なんで松本さんだけ取り上げるのかというと、単純に彼の経歴読んでたら話しかけてきたからに他ならない(あとSNSに作品UPOKで紹介しやすいから)。

 

 彼の作品は動物がメインモチーフだ。
 物腰の柔らかいいい人という印象を受ける彼は、実は早稲田大学電機・情報生命専攻修了している高学歴で、経歴だけ見れば研究者になれるんじゃと思うほど。
 元々動物が好きで、画家としては大分異色の経歴を持っている、非常に興味深い人物(なんかの新聞に載ってた)。
 絵がうまいだけあって、学生時代は学会の冊子にDNAやたんぱく質を描いていたけれど、これらはかわいくないし、やっぱり自分は動物が好きということでこの道に進んだそう。

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 最初、動物の描き方からアルチンボルド(花や野菜で人の顔描いた人)が好きなのかなあと思ったら、寓意画で有名なヒエロニムス・ボスが一番好きだとおっしゃっていた(検索してみて。めっちゃ面白いから)。もちろんアルチンボルドも好きだそう。
 ボスかあ(本人はボッシュと呼んでいる)と思いながら見るとなるほど。確かに松本さんの『進化論』とかボスが好んで描いていたテーマっぽい。手元に奇想の画家の画集があればもっといろいろ比較とかできたのに、残念ながらそれは実家である(そして片手にモネの画集)。

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 松本さんのキャンバスは大きいものから小さいものまでさまざまで、何かのチラシの裏に描かれているのも展示されていた。これが非常にかわいらしい。

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 本人曰く、大きいキャンバスも好きだが、小さいキャンバスに顔を近づけて細かく描く方が好きなんだそう。
 それを実感できるのが、彼がモネに捧げたオマージュ『生命の泉Ⅱ』である。
 すぐそこでモネをやっているためタイムリーに作り上げた、この会場で唯一の彼の新作である。

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 パッと見、高彩度ではっきりとした輪郭を持った、野獣派(原色をたっぷり使う派閥)の絵のように見えるが、よく見ると細かく色が塗り重ねられており、実像と虚像が入り乱れるさまはモネのアプローチそのものである。手前にいるカエルの描写には動物への愛を感じずにはいられない。
 この絵を描くときに、モネっぽい印象の絵に仕上げようかと思っていたそうですが、やっぱり自分はこう描きたいと思い、このタッチになったそう。いや~オマージュの醍醐味ですな、粋ですな。
 描写が非常に細かく、すごいなあと思いどうやって描いているのを聞いたら、筆を割って毛などを描いていると快く答えてくれた。ワークショップも行っている人なので、教え方が非常にわかりやすい。

 

 松本さんは今度京橋で新作いっぱいの個展を行うそうなので(サブウェイギャラリーMは8月12日で終了)、興味を持った方はぜひ行ってみて下さい! (めっちゃ可愛い猫ちゃんのポストカードもろた)
 宇宙を征服した段ボールの地球像(実物を見に来てね)がお出迎えしてくれるよ。

 松本亮平展
― 生命の記憶Ⅱ ―
2018年09月25日(火)~2018年10月06日(土)
11:30~18:30 日曜休廊 (最終日17:00迄)
作家来廊日 9月29日、10月6日、etc.
場所 SILVER SHELL
アクセス 銀座線・京橋駅と都営浅草線宝町駅が近い(詳細はググってね)

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